今からでも遅くない!初心者からドラムを始めるときに知っておきたいこと

バンドの後ろで全体を俯瞰しながらリズムを刻むドラム。ときおり挟まれるフィルインなどで演奏自体を盛り上げてくれる大切な存在です。こうした魅力に気づいて「ドラムがやりたい」と思う人も多くとても人気の楽器となっています。

しかし、ドラムを初めてみようと思っても、何から始めたらいいのかわからず二の足を踏んでいる人も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、ドラムを始めるときに知っておきたい基本的な知識や練習方法をご紹介していきます。

ドラムを始める前に知っておきたい基礎知識

ドラムと一口に言っても、ドラムはさまざまな打楽器の集合体でそれぞれに種類や特徴があります。例えば太鼓の部分に当たる「スネア」や「タム」や、ジャーンとなる「シンバル」、ときには、金属の棒がたくさんついてチャララランとなる「ウインドチャイム」などを組み込んだセットもあります。ここではまず、一般的なドラムセットを軸にご紹介していきます。

ドラムの種類とは?

ロックやジャズ、フュージョンなどで使用されていて、一般的にイメージしやすいのが「ドラムセット」でしょう。椅子に座り、その周りにタムやシンバルが配置されたドラムセットです。

どういった構成になっているのか、その内容について、ご紹介します。

スネアドラム

座ったとき、ちょうど足に挟むあたりに配置する基本セットのひとつです。「小太鼓」と言うとイメージがつきやすいかもしれません。「タンッ」という高い音が鳴るもので、のちに説明する、ハイハットシンバルとバスドラムとこのスネアドラムの3つを使って、一般的にイメージされるドラムのビートが形成されています。「ドツタツドツタツ」という基本的なエイトビートの「タ」の部分がスネアドラムです。厚みや大きさ、セッティングによって音色もさまざまです。

ハイハットシンバル

一般的なセッティングで座ったときの左側に配置され、2枚のシンバルを重ね合わせたような形状のものがハイハットシンバルです。このシンバルにはペダルがついており、それを踏んで操作することで閉じたりで開いたりします。エイトビートでいうところの「ドツタツドツタツ」の「ツ」の部分で鳴っている楽器です。

バスドラム

こちらは座った際に右足の正面に位置していて、ペダルが付いたもっとも大きなタムになります。ペダルを踏むと「ドン」と鳴る楽器で、ステージ上のドラムを正面からみたとき、「YAMAHA」や「Pearl」と書かれていて、その上に小さなタムが乗っているのがそれです。エイトビートでは「ドツタツドツタツ」の「ド」の部分に当たる、低く大きな音が鳴る楽器です。

クラッシュシンバル

印象的な部分や曲の切れ目などで「ジャーン」と鳴るシンバルです。クラッシュシンバルにも大小さまざまなものがあり、それぞれで音色も音量も響く長さも異なります。最小限のセッティングでは、クラッシュシンバルは1枚だけの場合が多いかもしれません。平らな面を叩くとジャーンと鳴り、中心の硬いところを叩けば「カンッ」とした音が鳴ります。

ライドシンバル

クラッシュシンバルに比べて大きくしっかりしているシンバルです。平らな面を叩いてもクラッシュシンバルほど響くことはなく、ハイハットより盛り上げたい場合にリズムを刻むときなどに活躍し、曲のサビの部分などで使われることが多い印象です。

タム

シンバルと同様に、ドラマーによって使用する数は異なりますが「三点セット」と言われたら、バスドラムの他に、タムが2つというのが一般的です。この場合、バスドラムの上にひとつ、右側に地面に直接置いてある大きなフロアタムがひとつとなります。タムは小さければ音が高く、大きくなれば音が低くなるので、小さい方から順に叩いていくとリズミカルなフィルインが可能です。こうしたタムだけで演奏することを「タム回し」とも呼び、ドラムとしては花形となるフィルインのひとつです。

ドラムの練習方法

ドラムを叩くことは、すなわちドラムスティック操ってリズムを刻むことになります。もっとも基礎的な練習はドラムスティックだけでも可能です。これならドラムセットのような大掛かり機材を用意する必要もないので、非常に手軽です。

さらに簡単に練習するなら、ドラムスティックとメトロノームと、読まなくなった雑誌や新聞を束ねたものさえあれば問題ありません。メトロノームは安価でコンパクトなものも販売されていますが、わざわざ購入しなくてもスマートフォンなどのフリーアプリでも入手できますので、つまりはドラムスティックさえあれば大丈夫ということになります。

スティックを正しいポジションで構えて、メトロノームに合わせて同じリズムで叩いてみましょう。叩いているときにメトロノームの音が聞こえない状態になれば、リズムがぴったり合っているという証拠です。まずはその状態を安定して維持できるようになるまで、コツコツと練習しましょう。それがぴったりハマったら、次は同じテンポで空白部分の真ん中に一発追加します。つまり、最初が4分音符なら次は8分音符の練習ですね。こうしてだんだんリズムを細かくしていきます。

ここで注意ですが、練習はできる限り毎日欠かさずにするということ。1日でも間を空けてしまうと意外とできなくなってしまうものです。手や体にしっかりとその感覚が染み込むまでは、特に毎日、少しでもいいのでこの練習をするようにしてください。これによって上達速度は上がります。毎日ドラムスティックに触れて、その感覚や感触、身体の使い方を叩き込んでいきましょう!

ドラムの練習は簡単にはできますが、やはりプロの意見を聞きながらすのとしないのでは大きな差が出ます。EYS音楽教室では、コロナ時代にも安心してレッスンできるオンラインレッスンも用意しています。さらに入会すると無料でドラムをプレゼントという嬉し過ぎる特典も!

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初めてのドラム選びのポイントと予算は?

まずそもそも、ドラムセットを購入するかどうかをよく考えてから行動しましょう。ドラムセットはエレキギターとは違って、生音がとても大きな楽器です。

一般的な家庭では一軒家を含めてなかなか自宅で叩くことは難しいでしょう。そのため、例えば休日に山や川など人がいないところに行って叩く、もしくは自宅で生ドラムにミュート(消音材)を貼り付けて叩く、といった使い方が普通かもしれません。人がいないところに行って叩ける人はある程度限られてくると思いますし、自宅に設置してミュートを貼り付けてまで叩くとなるなら、生音がそんなに出ない練習用ドラムセットも売っていますので、そちらがオススメです。

ドラムを選ぶ際は、今後ライブをしたり、練習スタジオに行って叩くことがあることを想定して、必要な機材から揃えることをオススメします。ここでいう必要な機材とは、まずスネアドラムです。ライブハウスやスタジオに常設されているスネアドラムは使い込まれており、また音色もさまざまです。そのため、「このスネアの音、気持ち悪い」ということが意外とあります。ドラムにとってリズムキープの要であり、楽曲の雰囲気にも大きく影響するのがスネアドラムなので、常に自分の好みにあった音色で、好みのセッティングのものを持っているようにしましょう。

胴(シェル)の厚みや直径(口径)、素材などで音色は大きく異なります。口径は大きいものは音が低く、小さくなれば音が高くなり、胴(シェル)の厚みが深いものは太く、薄くなればシャープな音色になるものです。また、胴(シェル)の素材によっても大きく音質が変化します。金属製のメタルシェルは明るめで大きな音、木製のウッドシェルは温かみがあってバランスが取れた音が特徴です。

これらの特徴を踏まえても何を買っていいかわからないという場合は、レッドホットチリペッパーズのチャド・スミスモデルのスペックを継承し、万能型のスネアドラムと呼ばれる「Pearl US1450」をオススメします。3万円前後で購入できる金属製のメタルシェルで、口径14インチ、深さ5インチという一般的なスペックです。

ドラムを始めるにあたって揃えておきたいアイテムは?

ここまで、ドラムの基本的な情報をお伝えしてきました。では実際に何を揃えていったらいいのかをご説明します。上記でもいろいろとお伝えしたので、重複するところもありますが最低限必要なものと、あればいいなというものをご紹介していきますね。

ドラムスティック

まず、絶対必要なものがドラムスティックです。ドラムスティックにもさまざまな種類があり、材質によっても音色に大きな差が出ます。

基本的に木でできているスティックは、ヒッコリー、メイプル、オークという材質に分類されます。重さや音量バランスがちょうどいいため、初心者でも扱いやすいとされているのがヒッコリーです。

メイプルはヒッコリーよりも硬く柔軟性がないため、強い衝撃によって折れてしまうこともありますが、重量が軽くて細かいストロークがやりやすい点から、繊細な表現がしたい人には最適です。対してオークは重くて硬く、音量重視でいきたい場合にオススメですが、慣れるまでは少し扱いが難しいかもしれません。

メトロノーム

スマホアプリでも対応可能ですが、軽量で小ぶりなものを購入しておくと良いでしょう。イヤホンがさせるタイプのものであれば、音にかき消されることなく聴こえるのでオススメです。

注意しないといけないのは、「メトロノームを使わずに練習する」ことは絶対にしないということ。変なリズムが身体に染み付いてしまうと、間違っていることに気づくことができなくなり、そこから抜け出すのに相当苦労するからです。

練習パッド

ゴム製の練習パッドです。雑誌や新聞でも代用できますが、跳ね返りの感覚などが少しでも実物に近く、実践に則している点からあると良いでしょう。中にはスタンド付きのものあるため、ドラムに座っている姿勢で練習することができます。

スネアドラム

こちらは先ほどご紹介した通りです。なくてもいいですが、あると「自分の音」を作ることができるので、可能であれば購入しておきましょう。ドラマーにおける、マイ楽器の先駆けとなることでしょう。

チューニングキー

スネアドラムの打面の張り具合を調整するために必要なものです。この張り具合によってスネアドラムの音は大きく変わります。好みの音色になるように、叩きながらいろいろと調整を変えてみましょう。

キックペダル

バスドラムを踏み込むときに使うペダルです。これもスタジオやライブハウスに常設のものがありますが、ネジやバネの設定がマチマチであるため、思い通りのドラミングができない可能性があります。そのため、自分で設定したペダルを持ち込むことで、いつもと同じ感覚でプレイすることが可能になるのです。

ドラム初心者にオススメの練習曲紹介

練習曲を選定する際、気をつけないといけないのはテンポが速すぎず、複雑すぎないリズムであることです。これらがあまりにも難解であれば、練習していて挫折する可能性が高くなります。その観点から、オススメの練習曲を3曲ご紹介します。

THE BLUE HEARTS – 青空

ミドルテンポでエイトビートを刻み続けるという、とてもシンプルな展開です。シンバルの使い分けなどはあれど、基本が忠実にできていればかっこよく決まる曲なので、ぜひ一度挑戦してみてください。

Nirvana – Smells Like Teen Spirit

激しい曲ではありますが、緩急がつきながらも難しすぎず、それでいてかっこいいドラムが特徴です。誰もが知る曲として練習していてもテンションが上がることは間違いありません。

Queen – Bohemian Rhapsody

映画「ボヘミアンラプソディ」で、世代を問わず多くの人が知るところとなった名曲です。少し難しいところがあるのですが、スローテンポなためしっかりと練習することができます。速い曲よりは遅い曲の方がごまかしが効かないため、自分の粗探しとして活用しましょう。

最後に

ドラムは自宅で練習しにくい楽器ではありますが、練習用のセットや電子楽器であるエレキドラムを使うなどすれば自宅でも練習が可能です。しかしあくまでも、生ドラムとは異なるという点だけは覚えておきましょう。自宅ではスティックで基礎練習を積んでおき、スタジオに行って生ドラムを思いっきり叩くことで、本物の実感を身体に覚えさせるようにすれば、上達は早くなると思います。

重ねて申しますが、メトロノームは必ず使うようにしてください。曲に合わせて叩いていればいいというものではありません。この点だけ注意して、基礎からしっかりと練習していきましょう!