【初心者様必読】バイオリンを始める前に押さえておきたい基礎知識や練習方法、楽器選びのコツ
楽器の女王とも称されるバイオリン。その優雅な曲線美と甘い音色は400年以上前から私達、人類を魅了し続けてきました。その人気は習いたい楽器ランキングではピアノに次ぎ第2位を獲得する程です。
しかし「難しそうだな」「バイオリンって予算どのくらいあれば買えるのだろう…」という声もちらほら聞こえます。バイオリンはしっかり練習をすれば、難しいことはありません。また、値段についても初心者でも買いやすいモデルもあります。今回はバイオリンを始める前にここだけは押さえておきたい!というポイントをご紹介します。
バイオリンを始める前に押さえておきたい基礎知識
バイオリンは、本体である「バイオリン」と「弓」の2つのパーツに分かれています。
バイオリンには、「弦」と呼ばれる針金のようなものが張ってあり、この弦を弓に張ってある毛で擦ることで音が鳴る仕組みです。他にもヴィオラ、チェロ、コントラバス、といった楽器は同じ仕組みで作られておりこのような楽器の事を「擦弦楽器(さつげんがっき)」と呼びます。
バイオリンの構造
バイオリンは現在の形になるまでに中世より様々な形状改良がおこなわれてきました。しかし音のでる基本的な仕組みはこの450年間一度も変わっていません。
バイオリンにおいて音が鳴る仕組みは、
弓で弦を擦る
↓
その摩擦で弦震える
↓
その振動が楽器内部にある魂柱(こんちゅう )に伝わる
↓
魂柱を通してバイオリンのボディ全体に伝わる→増幅された振動が楽器表部分にあるf字孔から出ることで初めて音になる
というものです。このため厳密には音をなるまでに時差が生じますが、バイオリンは楽器事態が小さいためそのサイクルも早くほとんど時差を感じることはありません。
バイオリンには4本の弦が張ってあります。これはスチール弦と言う種類でナイロンに金属を巻いて作られています。スチール弦は張った後平均で約3カ月〜4カ月は同じ弦を使い続けることが出来ますが、練習後のケアによって耐久度は大きく異なります。バイオリンを弾き終わったあとに柔らかい布で弦を拭くなどのひと手間で弦を錆びさせることなく長く使うことが出来ます。
このスチール弦は耐久性や音量など利便性が追求された結果で以前はガット(腸)弦と言う、ナイロンの部分に羊の腸の皮などが使われた弦が主流でした。このガット弦は販売されていますが値段が高い、切れやすい、などの理由からあまりおすすめはできません。
楽器上部にある4つのつまみは楽器のチューニングをするためのものです。4つの弦は向かって左から順番にG線(ゲー)→D線(デー)→A線(アー)→E線(エー)と呼ばれ、G線を1番低い弦としてE線に向かうにつれて音の高さが上がっていきます。G線とはドイツ語で「ソ」の音のことでD線は「レ」、A線は「ラ」、E線は「ミ」となります。チューニングをする時は、後に紹介するチューニング専用の機械、もしくはピアノなどで音を取りながらチューニングするとやりやすいでしょう。
弓の構造
弓とは約1m10cmほどの木の棒に馬の尻尾の毛を張ったもので、主にモンゴル、カナダ、イタリアなどの馬の尻尾が使われています。弓の元部分についているネジをまわすことで弓の毛を張らせたり、緩めたりすることが出来ます。一般的に弓の毛は3カ月〜4カ月での交換が必要です。こちらも弦と同じく練習後、弓の毛を毎回緩めるといった工夫で長持ちさせる事が出来ます。
楽器選びのポイントと予算
バイオリンを始めるにあたって1番気になるのはバイオリンの予算と選び方ではないでしょうか。
「バイオリンって高いんじゃない?」「どれを買えばいいのか分からない…」という疑問からなかな手を出せない方もいらっしゃるかと思います。バイオリンは一度購入すれば半永久的に使えるものです。だからこそ長く付き合っていける楽器に出会いたいですよね。
そこで、今回は予算8万円以下で買える失敗しないバイオリンを予算と楽器の特徴を元にご紹介します。
ammoom
こちらはコスパ重視のバイオリンです。しかしこの値段でバイオリン本体だけでなくケース、弓、肩当て(肩の負担をなくすクッション)、弦、チューナーなど合計6点がセットになっているというのは非常に魅力的です。「バイオリンに触れてみてから始めたい」「お試しで習いたい」という方にオススメです。
stentor120
このstentorは1960年代に英国で設立されたメーカーで、実際にバイオリン教師などと研究を重ね、学生育成のための楽器ややオーケストラ奏者なための楽器などなど様々なバイオリンを開発しています。
その中で、STENTOR SV-120は「バイオリンの楽しさを体験してもらう」ということをコンセプトに開発されています。こちらもケース、弓、松脂などがセットになっています。また初心者でもチューニングがしやすいよう、弦の下方端部分にアジャスターが取り付けられています。価格は16000円と由緒あるメーカーでありながらお安く購入する事が出来ます。
stentor180
こちらもまたstentorで作られているSTENTOR SV-180という楽器です。コンセプトは「年齢を問わず愛用が出来る」といったもので、せっかくバイオリンを買うなら長く付き合っていけるものがいい、という方にオススメです。またバイオリンならではのハイトーンを演出できるよう作られているそうです。価格は22000円とこちらも非常にお求めやすい額になっております。
nsn60s
こちらは大手島村楽器のマイスター茂木氏が監修しているバイオリンです。茂木氏はドイツで修行をした後現地の楽器工房の工房長まで務めており、世界的に認められた楽器職人と言えるでしょう。この楽器の1番のポイントと言えるところは、通常安い楽器は楽器は工場などで効率重視の作り方をされるものが多いのですがこの楽器は一切を職人が手作りしているところです。価格は45000円程度です。
スズキアウトフィットno.230
日本バイオリン制作会社でいえば、鈴木は最大手と言えます。また海外でも鈴木バイオリンは有名なブランドです。車でいうと、トヨタをイメージして頂けると分かりやすいでしょう。こちらのアウトフィットNo.230は鈴木バイオリンがビギナーズモデルとして開発したもので、このバイオリンも機械ではなく職人が1枚の板から削り出す製法を取っています。価格は72600円(税込)と少しお高めですが約束された安心感を提供してくれることでしょう。
ここまでに5つの楽器の紹介しましたが最後はその楽器との相性が1番大事なポイントです。予算を楽器店に伝え、店員の方に試奏していただいてから決めるなどすれば納得のいく楽器に出会えることでしょう。
EYS音楽教室では、なんと入会するともれなく全員にバイオリンのプレゼントがあります。「バイオリンを買っても、一人で練習して上達できるかな・・・」と心配な方にはぴったりですね。無料体験レッスンもあるので、ぜひお試しください。
練習に最適な練習曲
バイオリンを習ってみたいという方の中には「この曲を弾いてみたい」という曲への憧れがある方もいらっしゃるでしょう。しかし実際弾いてみれば音を出すことそのものが難しい…と諦めたくなることもあるかもしれません。
そこでさらなるバイオリンの上達を可能にしてくれるのが練習曲です。練習曲は基礎的な要素を元に作られているので、その曲を終える頃には驚くほどに技術が身についているのです。ここでは練習の始めなどに弾くと良い練習曲、練習曲集を3つご紹介します。
フリマリー音階教本
フリマリー音階教本は基本的な指の押さえ方などを身につけるのに役立ちます。曲集後半には音階を基本とした小曲も載っており並行しながら練習するのも効果が分かりやすいためオススメです。そして曲集を一通り終えたらまた繰り返すことで身につけた技術を保ち続けることが出来ます。
Estudos – Kayser 1
動画はカイザー練習曲集より第1番です。カイザーはドイツのバイオリン教育を牽引した人物です。全36曲で12曲ずつ巻が分かれています。この練習曲は基本的なバイオリンのテクニックをほぼ網羅しています。
第1巻は右手の奏法を中心に作曲されており、第2巻では音域も広がり左手の奏法を中心に作曲されています。そして第3巻は総合的な練習曲です。第3巻はだいぶ難しい曲も増えてきますので、無理のないようかいつまんで練習するのもよいでしょう。
Kreutzer Etude #5
動画はクロイツェル練習曲集より第5番です。クロイツェルは一般的にはカイザーの次のステージとして取り上げられることが多い練習曲集です。クロイツェルは全42曲で構成されています。
番号が後になるにつれ難しくなりますが、最初の方はカイザーの第3巻と同等の難易度なのでスムーズに移行できるでしょう。またその曲の美しさからバイオリニストのコンサートではアンコールとして演奏されることもしばしばあるようです。曲の美しさを堪能しながら楽しく練習できるでしょう。
最後に
バイオリンは「難しくお金もかかるんじゃないか…」「小さいころから学ぶものなんじゃ…」と思うかもしれませんが、大人の方にも絶大な人気を誇っています。また家の中で練習するにも場所をとらないためどのような環境でもご自分のペースで長く続けることが出来ます。おうち時間がまだまだ続きそうですが、これを機にバイオリンの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。