音も見た目も迫力満点!経験者が大太鼓の基礎知識、叩き方、選び方を伝授

和太鼓と聞いて、皆さんは何を想像しますか?大きな台に乗った人間よりも大きな太鼓を想像する方が多いと思います。大きな和太鼓は「大太鼓」と呼ばれ、迫力満点な音を出して演奏をします。男性が叩くイメージが強いかもしれませんが、女性の大太鼓奏者も多いんですよ。私も女性ですが、大太鼓を演奏したことがあります。

力が必要なので大変な時もありましたが、とても楽しかったです。そこで今回は大太鼓経験者が大太鼓の基本的な知識、魅力、練習方法をお伝えします!

 

大太鼓の基礎知識

まずは、大太鼓の基礎知識を学びましょう。演奏をする楽器の知識は知っておいて損はありません。歴史、部位の名称、材料などをお教えします。

大太鼓の歴史

そもそも和太鼓は縄文時代から存在していたとされています。当時は音楽的な使われ方はされておらず、儀式などで使われていたそうです。現在の和太鼓が出来上がってきたのは、第二次世界大戦後からです。大太鼓も同じ頃に出来上がってきたのではと考えられています。

(参考URL:http://www.discovernikkei.org/en/journal/article/3317/?show=ja(2020年8月7日))

大太鼓の部位

大太鼓についているそれぞれの部品にはちゃんと名称があり、全て大太鼓にとってなくてはならないものです。名称をきちんと覚えればそれだけで大太鼓奏者に一歩近づけます。覚えるべき名前はたったの5つなので、簡単に覚えられますよ!

面(めん)

バチで太鼓を叩く部分を「面」と呼びます。他の和太鼓は基本的に面の中心を叩きますが、大太鼓は真ん中を叩いてはいけません。もちろん、外側を叩くのも良くはありません。構えて、真ん中よりの部分を叩くのです。

面の中心を叩かない理由は「真ん中を叩くとバチの軌道が汚いから」「奏者のフォームが崩れて見た目が良くないから」といった理由があります。

胴(どう)

面と面に挟まれている木材の部分を「胴」と呼びます。他の和太鼓も同じですが、基本的に胴を叩いてはいけません。バチで胴を叩くと、へこんでしまい大太鼓の見た目が悪くなるからです。胴を叩くパフォーマンスなら叩いても大丈夫ですが、それ以外は極力叩かないようにしましょう。

鋲(びょう)

大太鼓の胴に面を貼り付けるようについている黒い丸を「鋲」と呼びます。鋲は画びょうの鋲で、文字通り面を胴へくっつけるために存在しています。面は張り替えが可能で、その際は鋲を取って張り替えます。

耳(みみ)

鋲の近くに出っ張っているものがあるのですがわかりますか?それは面の一部「耳」と言います。実は、耳なし大太鼓と耳あり大太鼓があり、耳あり大太鼓は面を張り替えることができます。しかし、耳なし大太鼓は面が張り替えられません。

「出っ張っていて邪魔だし何のためにあるの?」と思う方もいますが、意外と重要な役割があるんです。耳なし大太鼓の面が悪くなったり破れたりしたら捨てるしかありません。しかし、耳があれば大太鼓として生まれ変わることができるのです。

釻(かん)

大太鼓の胴についているわっかのことを「釻」と呼びます。一般的な和太鼓には2つの釻がついてることが多いです。大太鼓は太鼓の大きさが人間よりも大きいので釻は4つついています。何のためについているのかというと、運ぶ際2人の人間で持てるようにするためです。太鼓を運ぶ時は釻を持って運びます。

小さい和太鼓は1人で持てるので釻が2つでも問題ありません。しかし、大太鼓は大きさや重さから1人で持つのは不可能です。なので、釻が4つついており、2人で運べるようにしているのです。

大太鼓の材料

大太鼓が何で出来ているか知っていますか?胴は「木で出来ている」と想像がつくでしょう。面は何で出来ているかわかりますか?大太鼓の材料を知るのも、大太鼓奏者にとって大事なことです!面と胴が何から出来ているのか、学びましょう。

牛の皮

大太鼓の面は牛の皮で出来ています。他の和太鼓は馬の皮で出来ているものもありますが、和太鼓は基本的に牛の皮を使って作成されます。中には血管やほくろが見えるものもあり、それらが見える太鼓は良い太鼓とされています。大太鼓を持っている方は面をじっくり観察してみてください。

ケヤキ

大太鼓の胴はケヤキで出来ています。もちろん、他の木材で作られている可能性もありますが、ケヤキで作られている場合が多いです。くり抜き型で作られた大太鼓は良い音を出すと言われています。1本の木の中見をくり抜き、形を整えて作られた和太鼓のことをくり抜き型と呼びます。

くり抜き型は1本の木を使っているため重いのですが、その分迫力のある良い音を出してくれます!

 

大太鼓の魅力

大太鼓はサイズも音も大きいだけではありません。大太鼓には主に4つの魅力的な部分があります。私が感じている大太鼓の魅力をご紹介します!

最も大きな太鼓

大太鼓は和太鼓の中で最も大きな太鼓です。サイズ、音がどの太鼓よりも勝っているのです。子どもたちにも大人気なんですよ!私が和太鼓サークルとしてお祭りへ演奏しに行った時、小さい子どもが大太鼓を囲って楽しそうにしていました。大人も通りすがりに撫でたり軽く叩いてく方もいました。大太鼓は老若男女を魅了する和太鼓なんです。

男性が叩いても女性が叩いてもかっこいい

大太鼓は男性が叩くイメージが強いと思います。どの和太鼓の演奏を見ても、大太鼓を演奏しているのは男性ばかりなのでそのイメージが強いのでしょう。しかし、女性の大太鼓奏者もいます。男性が叩いてもかっこいいのですが、女性が大太鼓を叩いてもさまになります。一見性別を選びそうな太鼓ですが、実は誰が叩いてもかっこいい太鼓なんです。

どんな曲でも重宝される太鼓

大太鼓は主に2つの理由でどんな曲でも重宝されています。1つ目は音が大きく曲を盛り上げるからです。音がとても大きい大太鼓ですが、大太鼓がなくなると演奏自体が急に寂しくなってしまいます。大太鼓があるからこそ、和太鼓の演奏が成り立っていると言っても過言ではありません。

2つ目は迫力のある見た目で演奏の見た目を整えるからです。皆さんはさまざまな太鼓が並んだ和太鼓の演奏を見たことがありますか?大太鼓は必ずと言ってもいいほど用意されている太鼓です。しかし、大太鼓がなくなるとぽっかり穴が空いたようになるのです。大太鼓は音の観点からも見た目の観点からも大事にされている太鼓なのです。

大太鼓専用の曲がある

大太鼓には実は専用曲があります。その名は「大太鼓1本打ち」です。見た目と音の迫力があるから、大太鼓が1つだけでも演奏として成り立ちます。私が所属していた和太鼓サークルでも大太鼓1本打ちを演奏した先輩がいらっしゃいました。

大太鼓が1つだけの曲なので、その分キレイな構え、バチの軌道、音の粒などを意識して演奏しなければいけません。簡単そうに見えて難しい曲ですが、演奏できるとかっこいいですよ。

 

大太鼓の練習方法

いよいよ、大太鼓の練習方法をお伝えします!大太鼓はただ叩くだけでは大きな音は出ません。大きな音を出すには、努力と体力、持久力が必要です。練習していけば体力がついて、長く演奏しても疲れにくい体になっていきます。良い音を出すために、まずは自分にあったバチを選びましょう。

バチの選び方

バチは自分の手では包みきれない太めのバチを選びます。太く長いバチを選んでしまうと、腕に普段がかかります。かといって短いバチを選ぶと演奏が困難になってしまいます。実際にバチを持って、叩くフリをして良いイメージが掴めたものを選んでください。

バチの持ち方

まずは他の和太鼓のバチの持ち方をします。親指と人差し指でバチを持ってください。他の3本はバチに添えましょう。今、親指が目の前にある状態だと思います。両手をくるっと内側に巻き込み、手の平が自分に向くようにしてください。これが大太鼓バチの正しい持ちからです。

叩くときの姿勢

今回の練習方法は大太鼓を寝かせた叩き方ではなく、台に胴の部分を乗せた大太鼓の叩き方をお伝えします。身長や台の高さによって異なるので、記事を参考に微調整をしてください。まずは足を肩幅よりも少しだけ広めに開きます。左足を少しだけ前に出し、右足はぐっと後ろへ開きます。右足の向きが少し外側へ向くと叩きやすいですよ!

少し叩いてみて、叩きにくかったら前後に出す足を変えてみてください。手をあげ、バチ先が面の真ん中に来るようにしてください。面の中心というわけではなく、面を横に1本線を引いたとして線の上にバチ先が来るように構えます。バチ先が線より上にある場合は、膝を曲げ腰を落とします。

バチ先が線より下にある場合、開いている足の間隔を狭めてください。バチ先が線より少し上に来るまで間隔を狭めたら、腰を落とします。大太鼓のみならず、和太鼓は叩く際基本的に腰を落とします。腰を落として重心がぶれないようにすることで、良い音を出せるようになるのです。

叩き方

腕を頭より少し後ろに来るまで下げます。バチ先がふらつかないように手で支えてください。肘を曲げたり無理に下げようとすると、体を痛め変な音が出てしまいます。頭の後ろまで下げたら、そのまま勢いよく肘から面へ向かってバチを振り下ろします。バチ先が面に触れる直前、ぎゅっと握りバチ先がぶれないようにしてください。

叩き方は簡単なようで難しく、最初は音があまり出ないと思います。腕の筋肉をつけ慣れてくると段々音が出るようになるので、練習を怠らないようにしてくださいね。

 

和太鼓の叩き方は簡単なようでコツが必要です。そこで、プロに習うこともおすすめします。EYSでは入会するとなんと無料で和太鼓のプレゼントがあります。無料体験レッスンもあるので、ぜひこの機会にお試しください。

大太鼓を叩く際の注意事項

大太鼓の叩き方は意外と難しく、いくつか注意事項があるのでお伝えします。1日でも早く良い音を出せるようにするため、しっかり読んで練習してくださいね!

大きな音を出す時の場所

単発の大きい音を出す時は構えた場所を叩くようにしましょう。中心を叩くと、先ほどお伝えしたようにフォームが汚く見た目も悪いです。真ん中であれば良いというわけではなく、お客さんとして見た時に「自分はどう見えるのかな?」というのを意識して大きな音を出してみてください。

小さな音を出す時の場所

大太鼓は単発の大きな音を出すだけの太鼓ではありません。時には細かい手や小さな音を出す時もあります。その際は、面の外側を叩きましょう。どの太鼓でも面の外側は音が出にくいです。それを利用して、大太鼓で細かく小さな音を出す時は面の外側を叩くのです。

細かい手を面の中心部で叩くと、音が飽和して音が全て繋がって聞こえてしまいます。大太鼓で細かく芯のある音を出すのは難しいですが、練習をすればいずれ出せるようになるので頑張ってください!

体を大きく動かす

大太鼓は見た目も音も大きいので注目されやすいと思われがちですが、実はそうでもないのです。大太鼓は基本的に1つの曲に対し1つか用意されません。逆に、他の太鼓は2個3個と複数用意されます。

そのため、数的に他の太鼓に負けてしまうのです。目立つためには演奏をする際、体を大きく動かしましょう。体を動かすことで音を大きく出せるようにもなりますよ!

ちょっとしたパフォーマンスを入れると◎

大太鼓になれてきたらちょっとしたパフォーマンスを加えると良いでしょう。体の前でクロスして腕を大きく広げながら叩いたり、くるっと簡単なバチ回しをしてみたりしてください。パフォーマンスをすることで、自分のテンションも上がりお客さんを楽しませることができます。

大太鼓の練習方法 4選

大太鼓の叩き方はわかりましたか?ここでは大太鼓の練習に便利な動画をご紹介します。記事を読み、動画を見ることでより大太鼓への理解が深まるでしょう。

基本的な叩き方

こちらの動画では大太鼓奏者を斜めから撮影しています。足の開き方、構えの仕方、バチの軌道など基本的なことを確認できます。動画を見て自分の構えを確認してみてください。

松村組 松村公彦 大太鼓1本打ち

こちらの動画は松村公彦さんの「大太鼓1本打ち」です。大きな単発の音や細かい手など、大太鼓の技術がぎゅっと詰まった曲になっています。大太鼓に慣れてきたら音を覚えて実際に演奏をしてみてください。初心者の内は「こういう音はこんな風に叩いているんだ」と確認程度で見てみるといいでしょう。

パフォーマンスも加えた練習

こちらの動画では大太鼓の簡単なパフォーマンスを確認できます。大太鼓ではどんなパフォーマンスをすると良いのか?ぜひ、確認してみてください。また、後ろから撮影されているのでフォームの確認をすることもできますよ!

体の使い方を学ぶ

こちらの動画では大太鼓奏者を横から撮っています。また、大太鼓で演奏しているので演奏中の体の使い方を確認することも可能です。バチの軌道も見ることができるので、初心者の方はぜひ見てみてください。

 

初心者が大太鼓奏者になるには練習あるのみ!

大太鼓はすぐに演奏できるようになるほど簡単な太鼓ではありません。フォームやバチの持ち方、叩き方などどれも特殊で一筋縄ではいかないでしょう。大太鼓奏者になるためには、練習を重ねるしかありません。私も大太鼓で何度か演奏しましたが、舞台に立てるようになるまで血も滲むような努力をしました。

頑張りすぎもよくないので、自分のペースで練習してみてください!