尺八ってどんな楽器?音人倶楽部で無料体験レッスンを受けてみました!

アラフォーからアラフィフになるとそろそろ仕事も落ち着いてくるので、将来に備えて何か趣味でも初めてみようかなという気持ちになる方は多いのではないでしょうか。

 

この記事では、そんな私が音楽を始めたくなり「音人倶楽部(おとなくらぶ)」の無料体験レッスンという扉を叩いてみたお話をします。最初は「尺八」編です。

 

イントロダクション

無料体験レッスンは和楽器らしく和室を使って行われました。踏み石を踏んでスタジオに入るのは初めての経験でしたが、何か背筋が伸びるような気持ちにさせられます。

 

尺八の無料体験レッスンを担当してくださるのは渡辺峨山(わたなべがざん)先生です。

 

渡辺先生の体験レッスンの流れですが、最初に生徒さんに「なぜ尺八を演奏したいと思ったか」「他の楽器を演奏した経験はあるか」という2つを聴くところから始まります。1つめの質問で渡辺先生はその生徒さんが尺八でどのようなジャンルの曲を演奏したいと感じているのか、2つめの質問では音楽に対してどの程度理解できているのかを汲み取ろうとしてくださっているのです。

 

「春の海」「六段の調」を聴いて尺八に憧れたこと、クラシックからバンド楽器まで少しずつかじっているけれど練習があまり得意ではないことなどをお伝えして、次はいよいよ尺八に触ってみます。

 

尺八という楽器について

渡辺先生から尺八を受け取ると、菅尻(かんじり=楽器の一番下の部分)の方がずっしりと重く感じました。渡辺先生から本来尺八は竹製だけれど、今日は乾燥などの環境変化に強く飛行機に乗せることも可能な樹脂製の楽器を使っているため重く感じるはずとの説明を受けます。

 

おおまかに竹製の尺八の場合女性用300~350g、男性用400gほどの重さで、樹脂製だと450gほどの重さだそうです。尺八のプロの方は重たい楽器を使用する傾向にあり、(例えばプロフルート奏者は金の楽器=比重が重い楽器を使用するのと同じ)これは楽器自体の振動を抑え、逆に空気を振動させてしっかりと音にするためとのことでした。

 

また尺八の長さは一寸刻みでさまざまにありますが、尺が八寸であることから楽器の名前の由来ともなった標準の一尺八寸の尺八を、レッスンでは使用します。

 

尺八の吹き方とは?

渡辺先生は生徒さんが腹式呼吸(肺の下の方に空気を入れる呼吸法でお腹がふくらむのが特徴)ができるかどうかとアンプシュア(楽器を吹く時の口の形)の癖を確かめるためにここで一旦試し吹きをさせてくださいます。案の定音を出すことができなかったので、渡辺先生は尺八の音が鳴る原理を詳しく説明してくださいました。

 

尺八の音が鳴る原理について

渡辺先生は学生時代に尺八の音が鳴る原理を修士論文で研究されたとのことです。多くの人がエアリード楽器(尺八、フルートなどの空気を震わせて音を出す木管楽器)は吹き口にエッジがあるため上と下に空気が分けられることで音が出ると思っているのですが、実は全く中に息が入っていないということをまず理解してほしいそうです。

 

私自身、エアリード楽器は管からの息漏れをなるべく防ぐためにアンプシュアにこだわるのだと思っていたため、全く息が入っていないというのは驚きでした。このことを踏まえて渡辺先生は尺八の音が出るポイントが2つあることを説明されます。

①上唇と下唇でできる息の厚さがあるが、この厚さの一番下が吹き口にひっかかった時
(空気は全て尺八の外に出ている)

 

②上唇のすぐ下の空気が吹き口に引っかかった時
(空気は全て尺八の中に入っている)

 

尺八は低い音から数えて2オクターブ(ドを基準とすると音程の異なる次のドまでが1オクターブ)目を吹こうとすると①の吹き方でないと鳴らないため、①を使って吹くのが効率的なのだそうです。同じエアリード楽器でも尺八は吹き口の向こう側が平らで他の横笛(フルートなど)は丸いため、息を外側に出すためにはまっすぐに吹く必要があるのですが、口腔内の構造からも人間はまっすぐに息を吹くことは難しいので調整が必要とのことでした。(少し上向きを意識するのがよい)

 

また、全ての木管楽器(クラリネット、オーボエ、フルートなど)と同様、尺八も口腔内で空気の圧力が上がることが大切なのだそうです。これはリードを使う木管楽器に例えると、口腔内でリード内の状態を再現することを意味します。

 

尺八を実際に吹いてみる

尺八を演奏する時の構え方は、顎に吹き口を当てて舌を下顎の中に納め(「お」と声に出してから吹き口を当てるのがコツ)、最初は指孔(尺八の音程を変えるために指で塞ぐ穴)を塞がずに尺八を持ちます。

 

いよいよ吹いてみるのですが、当然最初はうまくいかず音は出ません。しかし渡辺先生が楽器の傾きや息を吹く方向、吹き込む強さを細かく調整してくださるので初心者の方でも少しずつ息が音に変わってくるのがわかるでしょう。渡辺先生が時折お手本を見せてくださるのですが、息の圧力と吹き込む量が一定なのがわかります。

 

ここで生徒さんの音が出にくい場合は渡辺先生が考えた秘密兵器、ヤクルトなどについてくる細身のストローの登場です。ストローで吹いてみると息が出ている方向、唇の正しい形を意識できるので尺八にとって望ましいアンプシュアが初心者の方でも自然にできてきます。この時アンプシュアにだけ気を取られるのではなく、腹式呼吸を使うこと、支え(腹式呼吸で吸った息を下向きの力をかけて抜けにくくすること)を意識することが大切です。

 

また尺八の吹き方を体感するため何度か吹込み練習を行うのですが、吹き込みすぎると過呼吸を起こすため休み休み行うようにします。過呼吸は尺八を始めて最初の3~4か月は特になりやすいとのことで、圧力をかけて息を吹き込み続けるのは体への負荷が高いのだと改めて感じました。

 

尺八演奏を聴く

ここで一旦休憩しながら渡辺先生が尺八演奏を担当されたゲームミュージック「風来のシレン」から「旅ガラスの町(渓谷の宿場)」を吹いていただきました。風来のシレンは私が一番やり込んだゲームのため、ぜひ渡辺先生の尺八演奏を生でお聞きしたかったのですが、夢がかなって本当にうれしかったです。

 

またスケール練習(ドレミファソ・・・のように音程を順番に吹いていく練習)のお手本も吹いてくださいました。この時聴きながら、指孔を塞ぐ時先生は指を上に傾けて塞いでいるのに気づいたことをお伝えすると、渡辺先生より指孔を塞ぐだけで音程を変えているのではなく、息の向きでも変えていると教えてくださいました。

 

演奏者の方によってさまざまな塞ぎ方があり、中には息の向きだけではなく首の向きを変える方などもいらっしゃるそうです。

 

尺八の教え方

ここで渡辺先生が尺八を教える時に大切にしていることをお話くださいました。男性と女性ではレッスンで教えてほしい内容やニーズが異なるため、渡辺先生はそれぞれ教え方を変えているのだそうです。

 

まず男性に教える時ですが、1つでも「できるようになる」「知識を増やす」ことが必要なためロジカルに教えることを大切にされています。例えば音が出る原理を科学的に教えたり、本当はなぜ尺八の音が鳴るのか正確にはわかっていない話をしたりすると男性は喜ぶのだそうです。

 

そのため、エアリード楽器は打楽器の次に人間とのつきあいが長い話、カルマ渦の話、疎密波の話(縦波の周波数のこと)負圧(1気圧より低い状態)の話など尺八にまつわる科学的考察を1つ1つ丁寧に説明されているとのことでした。また男性の生徒さんには実際に尺八を演奏する上でも「なぜ管楽器では運指を変えずに1オクターブ上の音程を出すことができるのか」といった質問を投げかけてみて考えてもらうと言った工夫もされているそうです。

 

これは音程と周波数の原理から考えると答えを導き出すことができるのですが、正解を知りたい方はぜひ渡辺先生の無料体験レッスンを受講してみてください。

 

逆に女性は「楽しい」という感情を持ち帰ってもらうことが大切なため、明るい色の洋服を身に着けたり、コミュニケーションに時間を割いたりといった工夫をされているそうです。渡辺先生は女性の生徒さんに悩みがあれば傾聴し、おしゃべりをしたい時はつきあうようにするなど気持ちよくレッスンを受講できるよう思いやりの気持ちで接していらっしゃるのが伝わってきました。

 

また先生を目指す生徒さんやプロを目指す生徒さんに教える場合は目的がはっきりしているため、男性でも女性でもニーズを満たしてあげやすいのだそうです。

 

渡辺先生のお話

渡辺先生は小学校・中学校・高校の国語の教員免許を持たれているためかとても聴き上手で教え上手な先生です。教育大学から芸大に転向されているので音楽知識だけではなく、どう教えるかについても深いお考えを持っていらっしゃるのが伝わってきました。

 

渡辺先生が無料体験レッスンをする上で大切にされていることが2つあります。1つめは限られた時間の中でも楽しかったという想いを生徒さんに持ち帰ってもらえるようにすることです。2つめは無料体験レッスンで初対面の生徒さんとお会いする時の物理的、精神的な距離感です。

 

渡辺先生はパーソナルスペースを大切にし、ごく親しい間柄でないと警戒されてしまう45cmという寸法を意識された動きを行っています。具体的には、精神的な距離が近づきラポール形成(信頼関係が形成されたということ)ができたら物理的な距離も近づけて生徒さんのパーソナルスペースである45cm内に入り、尺八の構え方など生徒さんの側に行かないと指導できないことを教えるのだそうです。

 

また座る場所も渡辺先生が部屋の奥、生徒さんが扉側に座ることで出迎えるという意味を持たせ、生徒さんに圧迫感を持たれないようにしているとのことでした。これらのお話から、渡辺先生は心理学を用いてより生徒さんが安心できるアプローチを心がけていらっしゃるのがわかります。

 

またご自身はプロの尺八奏者として学ぶ時先生から見て盗むという方法で覚えてきたけれど、生徒さんにはそのようなことは求めず手取り足取り丁寧に教えてくださることに渡辺先生の優しいお人柄が現れている気がしました。そんな渡辺先生が尺八と出逢ったきっかけはお父様が遊びで尺八を吹き、お母様がお箏の先生と言う環境のため家に尺八があったからだそうです。

 

子供のころはリコーダーと同時進行だったのですが吹き方の違いにもあまり違和感はなく、すぐに音も出て楽譜も読まずに吹いていたとのことでした。渡辺先生が子供のころ尺八と出逢ってくださって感謝したいと感じるエピソードを聴かせていただき、体験レッスンは終了しました。

 

まとめ

尺八は音が出しにくい楽器と聴いていましたが、私自身もしっかりとした音は無料体験レッスンで出すことができませんでした。

 

しかし、渡辺先生の深く幅広い音楽知識からプロとしての演奏に対する意識、生徒さんへの接し方まで密度の濃いお話をたくさん伺うことができたのが何よりも大きな収穫だと感じたのです。

 

アラフォーやアラフィフになるとただ尺八や音楽を学びたいというよりは、それらを通して今後何をしたいのかということを見据えた音楽教室選びが大切になってくるような気がします。

 

音人倶楽部の尺八無料体験レッスンでは楽器を学ぶ先の目標を作ること、達成まで寄り添って一緒に歩いてくれること、両方を満たしてくれる素敵な先生と出逢うことができました。

 

音人倶楽部とは?

音人倶楽部は50代以上の大人の方向けに作られた音楽教室です。入会された方の72%が初心者からのスタートなので安心して始めることができるのと、体験レッスン当日に入会し1年間の継続レッスンを約束すると無料で楽器ももらえます。

 

高い楽器を買う余裕がなくても、選び方がわからなくてもレッスンを開始できるのは、今まで敷居が高く音楽教室に足を運ぶことができなかった方にとってうれしいメリットではないでしょうか。また幅広く音楽に触れてみたい方のためには「オールフリー制」があり、コースやスタジオ、講師まで都度選ぶことができるため、気分転換に少し他の楽器を習ってみることもできるのです。

 

これからの時間を豊かな気持ちで過ごすためにも、「音人倶楽部」という新しい扉を開いてみませんか。