【二胡のレッスン体験談】初心者でも始めやすいレッスン内容をご紹介

弦楽器の音が好きなので、何か1つ弾いてみたいけれどアラフィフともなると敷居が高くてなかなか踏み込めないと感じている方はいないでしょうか?

 

そんな方の背中をちょっと押すことができるかもしれない素敵な無料体験レッスンを音人倶楽部で見つけたので足を運んでみました。今回は「二胡」編です。

 

二胡とは?

無料体験レッスンは和楽器にふさわしい和室を使って行われました。畳の踏み心地がよく、それだけでも落ち着いた気持ちにさせられます。

 

「東洋のバイオリン」とも呼ばれる二胡の無料体験レッスンを担当してくださるのは、橘雅子(たちばなまさこ)先生です。

 

橘先生は弾き方を教える前に二胡のチューニング(音の高さを合わせること)をされたのですが、弦が2本ともとても細いのに驚きました。バイオリンのA線(ラの音が鳴る2番線のこと)とほぼ同じ太さの弦ですが内弦が少し太く、外弦が細いのが特徴的です。内弦はD(レの音)、外弦はAの音(ラの音)が鳴るようにチューニングします。

 

バイオリンではどの弦でも時計回りに糸巻を巻くと締まり反時計回りだと緩みますが、二胡の場合内弦は時計回り、外弦は半時計回りで締まるので注意しましょう。弓(右手に持ち、弦を擦って弾くための道具)に馬の尻尾の毛が使われているのはバイオリンと一緒ですが、内弦と外弦の間に弓が通してあるため弓の表側と裏側両方を使って演奏するのが大きく異なる点です。

 

二胡の弾き方とは?

二胡らしい柔らかさを持った音を出すためには、まず体の力を抜きリラックスすることが大切です。最初に弓を持ってみます。持ち方は人差し指の付け根に弓を置いて親指をかぶせ、中指と薬指は弓の間に挟むのです。

 

コントラバスを弾く時に使うジャーマンボウという幅の広い弓の持ち方によく似ています。それを踏まえて右手で行う運弓(弓の動かし方)は水平に、弦に対して垂直に行うのですが、この時弓を当てる位置と動きには「軽くのせて終わり」「弓の重さに従って流れるように動かす」という感覚を持ちましょう。

 

このことにより垂直から弓が傾くことなくまっすぐに運弓ができるようになるのです。また弓の毛が楽器から浮いてしまわないように気をつけて行いましょう。二胡の場合弓先から弓元に弓を動かして弾くことを押弓(おしゆみ=西洋の弦楽器ではアップボウ)、弓元から弓先に弓を動かして弾くことを引弓(ひきゆみ=西洋の弦楽器ではダウンボウ)と言い、これはわかりやすくするため中国語の表現を用いています。

 

どちらかというと引弓の方が押弓と比較すると弾きやすいのではないでしょうか。また押弓と引弓を繰り返して運弓の方法を練習することを長弓(ながゆみ=西洋の弦楽器ではボーイング)と言いますが、二胡の場合は弓の全部を用いて弾くこともあればそうではない場合もあるのだそうです。

 

弾きにくくならない程度の長さで弓を動かすのがよいでしょう。二胡はたくさん長弓の練習を行うと上達するそうなので具体的な練習方法をお伺いすると、2拍、4拍、8拍といった形で拍数を上げていく方法、少しずつ長弓で使える範囲を広げていく方法などが効果的とのことでした。

 

また長弓につきものの移弦(弾いている弦とは違う弦を弾くこと)を行う時は、弓を傾けずに行うのがコツだそうです。これは最初から内弦と外弦に弓がくっついているため、少し寄せるといった感覚で移弦ができてしまうためと言えます。しかし二胡の場合は移弦する時弓の表側を使って弾くことから裏側を使って弾くことへの切り替えも同時にあるため、最初はこれに慣れるのが難しい気がしました。

 

次に左手で行う押弦(おうげん=音程を変えるために弦を押さえる動作)ですが、二胡の場合は2つの弦を同時に指のおなかで押さえます。同時に押さえても弓で2つの弦を弾き分ければ違う音が鳴る仕組みです。使用する指は人差し指、中指、薬指、小指で、手の平を下に向け指を立てる感覚を持つと押弦しやすいとのことでした。

 

西洋の弦楽器では初心者向けに指板(弦の下に貼ってある板)の押弦場所にシールを貼って目印とし、わかりやすくすることが多いのですが、二胡はそのような目印はないため最初は押す場所がわからず難しいと感じるかもしれません。全音(ピアノで言うと白鍵盤から白鍵盤への音程の移動)は指と指の間隔を開け、半音(白鍵盤から黒鍵盤への音程の移動)は指をくっつける感覚で指圧をかける程度の強さで押弦を行います。

 

この時押弦の強さによっては音程が変わってしまうため、ほどよい押弦の強さを見つけるまでは何度か試してみる必要があるのです。二胡の上手な弾き方を身に着けるためには、このような基礎練習をたくさん行うのが望ましいとのことでした。どんな楽器でも曲を弾きたい気持ちが先に立つものですが、二胡においては土台をしっかり固めてからと考えあまり焦り過ぎない方がよいのかもしれません。

 

実際のレッスンにおいても6~7割の時間は練習曲などで基礎をしっかりと身に着け、後の3割の時間を曲で応用するという形が生徒さんの上達が早いそうです。

 

 

上級者向けの二胡の弾き方について

橘先生に二胡には弓で弾く以外の弾き方はないのかおたずねしてみます。すると3種類あるとのことで橘先生が実際にやってみせてくださいました。

 

1つめは弓を置き、指で円を描くように弦をはじく演奏法です。円の通過点に弦があるような美しい動きに魅せられます。西洋の弦楽器で弦をはじく奏法(ピチカート奏法)では必ず弓を持ってはじくため全く演奏時の印象が異なると感じました。

 

2つめは応用的ですがはじくのと弓で弾くのを同時に行う演奏法です。こちらはテンポが速いのに音が整っていてとてもきれいに聴こえました。

 

3つめはビブラートで、二胡には指板がなく安定させにくいため全ての演奏法の中で一番難しいのだそうです。手首の力を十分に抜いた上で手のひらを下に向け、縦に手を動かすのがコツとのことで、橘先生が行うと動きが均一で聴いていて心地よいビブラートがかかりました。

 

ビブラートができると長い音を出した時の表現の幅が広がるので、レッスンでは安定したビブラートがかけられるようになるまで練習するのだそうです。また演奏法ではないのですが、押弦のポジション移動(左手をすべらせて別の位置で押弦すること)は音を鳴らしたままなでるイメージでできるため、逆に他の弦楽器より楽とのことでした。手首をやわらかくして行うのがコツです。このポジション移動がきれいにできると、二胡らしい音が初めて出せると言われます。

 

 

二胡の楽譜とは?

二胡はD調(移動音階の考え方で、チューニングに合わせてレミファソラシドレをドレミファソラシドとして表す)の楽器なので、楽譜もそれに合わせて作られています。

 

二胡専用の楽譜の名前は「数字譜」と言い、音程、拍子、トレモロ、運弓の方法などが記載されているのです。数字譜の基本的な音程の表記を表にしてみました。

この表の中でドレミファまでは内弦で弾き、ソラシドは外弦で弾くので移弦が必要です。

 

実際の二胡のレッスンにおいては数字譜だけで指導することはなく五線譜も用いているそうで、これは本国である中国でも五線譜が浸透しつつあるためとのことでした。いわゆる難曲(例えば32分音符などを含むテンポの速い曲)は数字譜では読みにくいというのも、五線譜が中国で浸透した理由の1つと言えるのだそうです。

 

しかし特徴的なのが二胡では実は、あまり楽譜に対しての正確さを求められてはいません。二胡の持つ哀愁を帯びた独特の音色を尊重し、演奏での自由な表現やアレンジを大切にしているのだそうです。クラシックの五線譜では弾き方から音の強さまで細かく指定されているのですが、対照的と言えるかもしれません。

 

また中国では二胡の練習曲集などさまざまな種類の楽譜があるのですが、日本の楽器店では手に入りにくいためネット購入をすることが多いのだそうです。

 

 

橘先生のお話

橘先生は中学生の時に吹奏楽部でコントラバスを弾いたのが弦楽器を始めたきっかけです。そんな橘先生は大学時代よりずっとバイオリンを専門として音楽を続けてきたのですが8年前に二胡に出逢い、瞬間的に求めている音楽を表現できるのは二胡だと感じたため習い始めました。

 

二胡の音色を初めて聴いた時、子供時代を想い起こすような哀愁を帯びた音色だと感じ、そこに魅せられたのだそうです。本当に自分の求めている音楽は二胡で奏でられるのかを確かめるためレッスンを始めてみると、橘先生はバイオリンで固定音階を使用していたため、移調楽器である二胡のD調のチューニングは実際に聞こえる音と違うと感じてしまい、慣れるまでには時間がかかりました。

 

しかし先生になられてからは10代から70代まで幅広い年齢層の生徒さんを担当され、それぞれに合った丁寧な指導を続けられてきました。生徒さんの希望する曲の譜面がない時は、先生が自ら譜面に起こすこともあったそうです。また日本では基礎を固めるための練習曲集の譜面が手に入りにくいため、中国に足を運んでようやく手に入れたという経験もあるとのことでした。

 

音人倶楽部の二胡コースでは初めての楽器が二胡という生徒さんが7割程度を占めるのですが、音楽に対する思い込みなどがないため上達が早く数字譜もすぐ読めるようになるそうです。そして他の楽器を経験した人であれば耳で音を聴き分けることができるので、それが二胡を演奏する時に活かせる強みになるとのことでした。

 

橘先生は、人間の声に一番近い周波数を持つためとても癒される二胡の良さを、もっと多くの方に知ってほしいと考えていらっしゃいます。そのため本場の上海へ二胡を学びに行き、日本だけでは学べない深いものをたくさん得てきたので今度はそれを生徒さんにぜひ伝えたいのだそうです。

 

二胡は日本では敷居が高い楽器かもしれませんが、中国では敷居が低く庶民的な楽器とされていることもそのうちの1つかもしれません。橘先生は中国の文化や音楽、風景が大好きという気持ちから、二胡を通じて日本と中国の関係がもっと良くなればよいと感じるとのことでした。そして生徒さんには二胡の演奏を通じて幸せな気持ちになってもらえれば、橘先生もそれが幸せに感じるのだそうです。

 

橘先生のおだやかなお話の仕方からはなかなか想像がつかなかった、秘めた情熱を感じながらレッスンを終えましたが、その強い想いに魅せられて最後は何だかもう少し先生のお話を聴いていたい気持ちにさせられます。後で思い返して、先生の二胡を奏でる音にはどこか一本芯の通った強さを感じたのはこのような想いを表現されていたからなのかな、と感じました。そして私が聴けなかった橘先生の素敵なお話の続きをもう少し聴いてみたい方は、ぜひ無料体験レッスンを予約してみてください。

 

まとめ

二胡という楽器に初めて出逢いましたが、西洋の楽器では表現できない深みのある音色と橘先生の暖かいお人柄でとても癒されました。アラフォーやアラフィフになると誰しも社会に対する責任が増え、それなりの振る舞いが求められるものです。

 

しかし音人倶楽部の無料体験レッスンでは、そんな緊張感漂う日々からふと視線を外し、一人の生徒として普段とは違う自分だけの贅沢な時間を過ごせます。大人の習い事時間というのは日々を前向きに過ごすために自分を大切にする時間でもあるということに気づくことのできた、幸せな無料体験レッスンでした。

 

音人倶楽部とは?

音人倶楽部は50代以上の大人の方向けに作られた音楽教室です。入会された方の72%が初心者からのスタートなので安心して始めることができるのと、体験レッスン当日に入会し1年間の継続レッスンを約束すると無料で楽器ももらえます。

 

高い楽器を買う余裕がなくても、選び方がわからなくてもレッスンを開始できるのは今まで敷居が高く音楽教室に足を運ぶことができなかった方にとってうれしいメリットではないでしょうか。また幅広く音楽に触れてみたい方のためには「オールフリー制」があり、コースやスタジオ、講師まで都度選ぶことができるため、気分転換に少し他の楽器を習ってみることもできるのです。

 

これからの時間を豊かな気持ちで過ごすためにも、「音人倶楽部」という新しい扉を開いてみませんか。