【初心者向けのお箏入門ガイド】まずは知っておきたい基礎知識をご紹介
若い時はそんな風には思わなかったけれど、アラフィフという落ち着いた年齢になったらそれに似合うお箏を弾いてみたくなったという方はいらっしゃいませんか?
この記事ではお箏を学びたいと考える初心者の方が知っておきたい心得についてまとめてみました。
【心得その1】箏とは?
箏とは日本の伝統的な楽器の1つで、13本の絃が張られています。
柱(じ)と呼ばれるパーツで音程を調整し、爪を親指、人差し指、中指の3本の指にはめて弾きます。
箏には弾き方や爪の形が異なる流派が存在し、それぞれ「生田流」「山田流」と呼ばれているのです。
生田流は古典曲に加えて現代曲が多く作られていること、山田流は音量が豊かで大きく、歌物が多いことが特徴的と言えるでしょう。
初心者の方がどちらの流派で学ぶかを決める時には、それぞれの演奏会にまず足を運んでみて好きな曲が弾けるかどうかや音色を確かめてからにするのをおすすめします。
演奏会についての情報は、公益社団法人日本三曲協会の演奏会情報が参考になるでしょう。
またよく言われる箏と琴の違いですが、琴は柱を立てずスライドギターのように弾く楽器で、例えば大正琴などがそれにあたるのです。
初心者の方でも自分の弾きたい楽器や流派についてしっかりとイメージを持っておくと、より自分の学びたい方向がはっきりするのではないでしょうか。
【心得その2】箏を始めるのに必要なものとは?

初心者の方が箏を始めるのに必要なものは次の5つです。
①箏
楽器本体です。
価格帯としては新品で6万円~350万円、中古品で4万円~50万円程度が相場のようです。
価格の違いは並甲(木を繰り抜いた後裏板を張り付けた構造)くり甲(舟形にくり抜いた木の側面部分の内側を45度に切り、裏板をはめ込んだ仕上げ)という、構造上の違いによる音色の差に表れています。
楽器屋さんでも並甲とくり甲は分けて販売されており、くり甲の方がかなり高額なので初心者の方でも違いがわかりやすいでしょう。
あまりにも安い楽器や中古品の場合胴に使用する桐の木目の縮みで歪みが発生しやすいのですが、初心者の方がこれを見極めるのは難しいので、新品でほどほどの価格のものを購入するのが望ましいと言えます。
初心者の方向けに、箏本体に必要な付属品がついてくる「入門用セット」を販売している楽器屋さんもあるので、お得に購入したい方はひとまずこのようなセットを利用してみるのもおすすめです。
②柱(じ)
絃の音程を調整するために箏の上に置いて用いる道具です。
柱を左に移動させると音程は低くなり、右に移動させると高くなります。
初心者の方にとって大切なのは持ち方で、側面や上部だけをつまんで持つのではなく親指と人差し指で柱のお腹の部分を左右からはさんで持ち、中指で支えるようにしましょう。
これは柱を移動する際に倒し、箏の表面に傷をつけたり、柱自体を割ってしまったりしないようにするための持ち方なので必ず覚えてください。
また価格はプラスティック製ならセットで5,000円程度、象牙製なら2万円~3万円程度が相場のようです。
③爪
爪は箏を弾くために親指、人差し指、中指の3本の指にはめて使います。
生田流の爪は四角く、山田流の爪は楕円形です。
生田流では絃に対して斜め45度に爪を当て、山田流では90度に当てて演奏します。
価格は爪本体のみでプラスティックの爪なら1,500円程度、象牙やカバ歯製なら5,000円~1万円程度が相場と言えるでしょう。
爪本体と指にはめる爪輪を別に販売する場合とセットで販売する場合があるので注意が必要です。
④箏台
箏を演奏する時に設置する台のことで、座奏用、立奏用があります。
素材により価格は異なり、1万円~3万円程度が相場です。
⑤チューナー
音程を合わせるために現在の楽器の音程を表示してくれる機械です。
邦楽では音高(ピッチ=音の高さで単位は1秒間に音波が振動する回数を表すヘルツ。)を世界標準の440ヘルツではなく442ヘルツで合わせることがあるので、ピッチの調整ができるチューナーを選ぶのが望ましいでしょう。
1,000円前後の価格で購入できます。

【心得その3】各部の名称について

箏の初心者の方が最初に覚えてほしい各部の名称について説明します。
箏は皇帝を象徴する、龍をイメージした名前が各部につけられているのが特徴的です。
それぞれの名称と意味を表にまとめてみました。
箏各部の名称 | 意味 |
龍尾 | 演奏者から見て雲角より左側部分全体のこと。 |
雲角 | 龍尾側で絃を支える部分のこと。 |
柱(じ) | 絃の音程を調整するために箏の上に置いて用いる道具。 |
絃(糸) | 振動させることで音が出る。 |
龍頭 | 演奏者から見て龍角より右側部分全体のこと。 |
龍角 | 龍頭側で絃を支える部分のこと。 |
龍眼 | 絃を通すための金色の丸い穴のこと。 |
初心者の方は箏に龍を重ね合わせて、頭から順番にイメージしてみると覚えやすいのではないでしょうか。
【心得その4】箏のチューニングについて

箏のチューニングのことを「調絃」と呼びます。
箏の調絃とは柱を移動して音程を合わせることです。
柱は左に移動させると音程は低くなり、右に移動させると高くなります。
絃は張っただけでは正しい音程にはなっていないため、全ての弦楽器は演奏前にこのチューニングを行って楽器ごとに正しい音程に調整する必要があるのです。
箏は上の画像のように各絃に番号が振ってありますが、それぞれどの音に合わせればよいかは曲によって異なります。
一番使用頻度の多い「平調子」を表にしてみました。
絃の番号 | 音名(イタリア語表記) | 音名(英語表記) |
一 | レ | D |
二 | ソ | G |
三 | ラ | A |
四 | シ♭ | B♭ |
五 | レ | D |
六 | ミ♭ | E♭ |
七 | ソ | G |
八 | ラ | A |
九 | シ♭ | B♭ |
十 | レ | D |
斗 | ミ♭ | E♭ |
為 | ソ | G |
巾 | ラ | A |
チューナーの前で指板をどこも押さえずに(開放弦という)一絃を鳴らしてみましょう。
チューナーの針が真ん中より左側を指している場合は音程が低いということなので、柱を右に移動させ針がちょうど真ん中になるように調整します。
逆にチューナーの針が真ん中より右側を指している場合は音程が高いため、柱を左に移動させ針が真ん中になるように調整しましょう。
これを一絃から巾絃まで13回行えばチューニング完了です。
初心者の方にとって最初はなかなか難しいかもしれませんが、少しずつ慣れていきましょう。
【心得その5】箏を習う上でのマナーとは?
箏には「お稽古」という言葉がありますが、「お稽古」には昔のことを知ることで、今何をするかを考えるという意味があります。
古くから伝わる挨拶などの礼儀作法を箏のお稽古を通じて身につけることができるのも、箏を習う1つの魅力と言えるでしょう。
例えば日本には「型」を大切にする文化がありますが、箏にも演奏をする上で正しい手の形や姿勢、また和室での所作といった「型」が色濃く反映されています。
これにより箏のお稽古を通じて自然に一生ものの美しい立ち居振る舞いを手に入れることができるのです。
またお稽古に通う際の服装、月謝をお支払いする時のマナーなどを1つ1つ丁寧に考えることで他の人に良い印象を与えたり、人間関係をスムーズにしたりするための心構えもできてきます。
アラフィフになり、今まで仕事や家庭で培ってきたもので十分このようなことは身についたという考え方もあれば、今までよりさらにハイレベルなマナーを身につけたいという考え方もあるでしょう。
初心者の方は、箏のお稽古をするということに楽器がただ弾けるようになるのではなく、人間性を養うという意味もあることを覚えておいてください。
まとめ
箏を始めるというのはなかなか敷居が高いと感じた初心者の方も多いのではないでしょうか。
確かに箏はチューニングや道具の扱いを始め楽器自体の難易度の高さと、マナーや礼儀など通常の音楽活動では求められない要素が発生するため、初心者にとってはかなり高い壁を乗り越えないといけない楽器だといえるでしょう。
しかしプロの先生の手を上手に借りることができれば、その高い壁を少しは楽に乗り越えられるかもしれません。
ここで箏を演奏することで何を身につけたいのかを一旦考えてみましょう。
もしアラフィフらしい高度な礼儀作法や立ち居振る舞いを身につけていきたいとすれば、マナースクールと併設されている箏教室などが適しているでしょう。
そしてもう少し気軽に箏という楽器に親しみたいと感じているならば、楽器のレッスンを重視している音楽教室が適しています。
自分がどのようなことを学びたいのかがきちんと把握できたところで無料体験レッスンを申し込めば、よりやりたいことに合ったプロの先生の手を借りられる可能性が高まります。
ぜひ一度は自分の気持ちを分析してみてから、どのような箏教室を選ぶのかを考えてみてください。
音人倶楽部とは?
音人倶楽部は50代以上の大人の方向けに作られた音楽教室です。
入会された方の72%が初心者からのスタートなので安心して始めることができるのと、体験レッスン当日に入会し1年間の継続レッスンを約束すると無料で楽器ももらえます。
箏を習う上でのマナーの項目でも触れましたが、和楽器の世界ではその楽器を通して礼儀作法を学ぶという文化がまだ根強く残っています。
しかしアラフィフの初心者の方にとってはこのような作法はもう十分に身についているので、もう少し手軽に始めたいという方もいらっしゃるでしょう。
音人倶楽部ではこのような流派や礼儀作法にこだわりすぎず、箏への敷居を下げているのが特徴的です。
また幅広く音楽に触れてみたい方のためには「オールフリー制」があり、コースやスタジオ、講師まで都度選ぶことができるため、気分転換に少し他の楽器を習ってみることもできるのです。
これからの時間を豊かな気持ちで過ごすためにも、「音人倶楽部」という新しい扉を開いてみませんか。
